螳螂・夏日・月餅

今朝、洗濯機を回しながら、夕べ洗濯して干したものを取り込む。
ふみが生まれてから、お洗濯は一日朝晩二回となってる。


暑いおかげで、シーツはよく乾いてるわ。
あれっ、ずいぶん鮮やかな緑の、葉っぱ?がシーツに止まってるね。


カマキリだ!「ふみ〜、ふみ〜カマキリ」聞こえてないや。


部屋に入って、「ふみ、カマキリがベランダにいるの、ほしい?ほしいよね、捕まえてあげるから、待って」

「ふみがやる、ふみがやる」ふみは途端にテンションあがった。
「むりむり、高いところだから、ママに任せて」


が、カマキリに近づく指は、戸惑う。


カマキリって、どう捕まえればいいんだっけ…。
バッタやトンボの捕まえ方はすごく覚えてる、カマキリは、どうだったっけな〜

カマキリはわたしの戸惑いを感じたのか、冷笑して全く逃げようとしない。


そうだ、あの長いお腹を掴まえばいいんだ。

カマキリのお腹の位置に、親指と人差し指をゆっくり移動して、ギュッと指をとじる。

あっ、軟らかい!潰れるじゃないかな、だからといって、どこを掴まえばいいの…迷いの一瞬に、慌てることなくカマキリは、二つの鎌を高くあげ、思い切りわたしの指に降りおろした。


痛いっ(≧∇≦)

手を放した。

カマキリは、ざまあみろという顔でわたしを一瞥して、ベランダ下の草むらに向かって、自由落下。その鮮やかな緑色は、あっという間に草むらに溶け込んだ。


あ〜
幸い指は、血は出ていない。


ふみ、わんわんと泣いた。「カマキリ、捕まえてほしかったのに」



ゴメンゴメン、でも挟まれたから痛くてしょうがないもん、本当よ。ほら見て血はでてないけど痛いよ。カマキリってどこを掴まえばいいんだっけ。思い出せなくて小さい時のママは、それはそれは虫採り名人だよ。本当に、バッタはこうでしょう、トンボはこうでしょう…


一生懸命ふみに、虫によって捕まえる時の手つきの違いを、身振り手振りでアピールするわたし。

ふみはエンエンエンと泣く、シャツの胸あたりに、涙の花がどんどん咲き乱れる。


「じゃ、ふみならどうする?どうやって捕まえる?」

「か、かごで、あーあーあー」
「虫篭?むりよ、だってシーツのところに、こーういるんだよ」
「あ、あみで、あーあーあー」
「網?でも網からは結局手を使わないと取れないでしょう」
「あ″〜」
「わかったわかった、今度調べてみるね、必ずカマキリを捕まえてプレゼントするから」(安易に約束しちゃったよ)
「ママは魔法遣いでしょう?魔法で捕まえてほしかった、あーあーあー」

ま、魔法はね、それはね…


「ふみ、あのカマキリはこのシーツに泊まってたよ、夜ふみがこの上で寝てたら、カマキリの夢みれるよ」
「ふ、ふみだけ?」
「もちろん、パパもママもカマキリの夢をみたくてもみれないよ」

ふみは泣き止んだ。
「じゃ、か、カマキリのにおいかがして」ふみは顔をシーツに埋める。

鼻水!涙!洗ったばかりなのに、あ〜


ふみとベランダにお花を育ててるおかげで、蝶々は来てくれたわ、蛾は来てくれたわ、てんとう虫は来てくれたわ、今度はカマキリ。
何となく嬉しいな。

しかしふみは、昨日も今日も、虫のために泣いたね。
昨日はしくしく、今日は号泣。




今日は33℃。暑さ、とうとう彼岸まで粘りましたね。


今日は中国人の知人たちと中秋の挨拶のメールを交わした。日本人にとっては、年に一度の旧暦8月15日のこの中秋の日は、別にたいしたものではないでしょうけど。


姉が送ってきた月餅を、頂きます。


海上昇明月 天涯共此時