老夫婦

朝起きたふみは、微熱も下がり、元気もよかった。いつもと比べて、食欲ややないなと感じるが。

ふみを保育園に送り、玄関で、「ママ、保育園終わったら、オータムタムを見ようね」とふみが。


毎年、保育園では園児たちの手作り作品を「オータムタム」とのタイトルで展示する。いろんな作品を出品する保護者もいる。


ママの約束をもらったふみは、お部屋へ走って行った。


保育園から出て、わたしは近くの病院へ、インフルエンザの予防接種を受けに。
パパは昨日受けたのです。


貧血で静脈注射はよく受けますが、筋肉注射は久しぶりのせいか、痛かった(>_<)3600円でした。


病院から出て、ひんやりの中、お散歩。

歩いているうちに、だんだん暖かくなってきました。


今日は、知人に誘われ、お芝居を観に行くことに。


黒木瞳の舞台で、二階席です。
花道は、ほぼ真下になるので見えません。モニターが花道を映しています。


わたしのお隣は、老夫婦が坐ってます。席がやや斜めのため、左側のお客さんは普通に目に入ります。
開演間もなく、奥さんが顔を下に向け、眠ってしまいました。
奥さんのお顔を何回か覗き込んだご主人は、さらにまもなく、眠ってしまいました。

わりと賑やかな舞台なのに、お二人はちっとも起きやしません。


大きい音響で起きないのに、わたしがこっそりとのど飴を剥くパリっパリっ、というささやかな音で、ご主人がびくっとして、目覚めたのです。これは失礼いたしました。

さいわいご主人はちょっと姿勢を換え、またすぐ眠りました。


途中の休憩時間になって、灯りが点くと、お二人とも目覚めて、言葉を交わすこともなく、奥さんが小さいお弁当を二つ取り出し、二人は黙々と食べ始めたのです。


「へ〜〜、何しに来てるのって感じね」と知人は笑う。
ほんとうね。

再びお芝居が始まり、舞台の押し入れに隠れていた男が出て来たのを見て、お二人は低い声で、
「あの人、どうしたの?」
「ねぇ」

思わず笑ってしまいました。


ブルブルビービー、ご主人の携帯が鳴った。ちょっとびっくり、基本のマナーを守って下さらないと。これが2階でまたよかったわ。

呼び出し音は短かった、メールらしい。ご主人はブルブルビービーで全く目覚めなかった。ポケットから半分はみだしてる携帯は、それからずっとピカピカと光ってました。


この非日常的な空間で見る夢も、現実を忘れさせるものかしら。


お芝居が終わり、甘酒横町から帰ることを選んだ。

まず夢二グッズがいっぱいのお店「港屋」へ。


仕事先のマグカップは、この港屋から買った夢二の絵のを使ってる。

おかしいことに、その夢二のマグカップを、よく割るのです。割って買って、割って買って、とうとう港屋の夢二カップの全種類を使いきった。


「なんででしょうね、不思議」と、この前、職場でその話をしていたら、
R君が「また使ってほしいとのことじゃない?」
なるほど!カップたちはまた使ってほしい、それともわたしの潜在意識で夢二カップの全部の図案のを使いたい、ですよね。

カップを買って、(これ、前も使ったことがあるよ、だからもう割らなくていいから)と自分に言い聞かせる。

「ずいぶんと狭いお店ね」と知人が。
そうなんですよ。だからふみを連れて来る時、いつもハラハラしてる、お店の中で、ちょっとでもはしゃいだら、たいへんなことになるから。


豆腐屋さんから、豆腐のから揚げを買って、地下鉄に乗った。


甘酒横町で撮った一枚です。

昭和年代を彷彿させるでしょう。





ふみをお迎えして、上の階に上がって、オータムタムを見に。

これは粘土でできたふみの作品。

カブトムシだそうです。


これもふみの、カマキリだって。



その場で先生と一緒に車のカードを作る。




よかったねふみ、だいじに至らなくてすんだみたいね。