白い小花
大相撲の初場所が終わりました。ふみの楽しみも無くなったのです。
うちでは、自分で解説しながら、一人相撲を取ってます。
ふみのおかげで、わたしも現役の力士の名前をだいぶ覚えました。
「豊真将(ほうましょう)は礼儀が正しいから人気なんだ。負ける時は、他のお相撲さんはこう」(ふみは軽くおじきをする)「豊真将はこう」(ふみは深々とおじきをする)。
ふみは力士のいろんな情報を、パパと本を読んで研究してるんだ。
保育園から戻ってきた連絡帳にも、先生に相撲の話しをしていると書いてありました。
ほんとうに好きだね。でも保育園ではその話を共有するお友達はいないようです。
この間、ふみは、今よくテレビに出るある女装する芸能人のことを、デブだと言った。
保育園のお友達がそう言ったと。
ふみは芸能人を、“草生活”をしていたくさなぎ君と、“青木さん”の竹中直人しか、知らないです。
だからその話は、お友達から聞いたのでしょう。
でも、ふみを叱った。
前々から、ふみに、人の体のことを話題にしちゃいけないと、厳しく教えてる。
ましてや、ああいうきつい言葉でだなんて。
「ふみ、パパもママも、そのテレビに出るMさんのことを、デブなんて、一回も言ったことがない。Mさんは頭がいいし、おもしろい、ただそれだけ。人の体のことを笑うとか、からかうとか、話題にするとか、品がないことよ。ママはふみがそんな品のない人間になって欲しくない」
「わかった」とふみは下に向いて言う。
そうふみに言いながら、小さい時に父親にそう言われたのを思い出す。