Y先生

「ふみ〜、暖かくなったら、毎日お花に水をやるのを、ふみがやってね」
ベランダからわたしが言う。
「やったー!今日からやりたい。ダメ?」部屋からふみの声が聞こえる。
だから暖かくなってからって言ったでしょう。


今日は、ようやく最高気温がぎりぎり二桁となって、日向はだいぶ暖かい。


スイミングに向かう時に、ふみに、
「今日はY先生のおっぱいを触っちゃダメよ」と、わたしは言う。
「さわるぅ〜」ふみは、にこにこと答える。


Y先生とは、ふみのスイミングの先生で、ちなみに、若い男の先生です。
はにかむような笑顔で、優しそうな先生。
いつからか、ふみは水中で、上半身がはだかのY先生に抱っこされる時や、近くいる時、よく嬉しそうに「おっぱいだ、おっぱいだ」そのY先生の胸を触る。


その先生は別に怒るもしないし、笑ってるだけ。


「ふみ、今日もY先生のおっぱい触ったでしょう」
「触ったよ」
「先生、怒らない?」
「怒らないよ」
「もうやめてとか、言ったんじゃない?」
「言ってないよ、Y先生は、やったー、フゥー、って言ってるよ」

はっはっは、そんなわけないでしょう。

「終わったら、ママのところにY先生が苦情を言いにくるかもしれないよ、あのぉー、ふみ君はいつも僕のおっぱいを触るんだけど、困るんです。と言われたらどうしよう」

「だ〜いじょうぶ、だいじょうぶ、Y先生は次の時間のも教えてるから、出てこないよ」

そういう問題じゃないでしょう。


この調子で、未だにふみはこのクセが直らない。


今日の帰り道。
「ふみ、今日もY先生のおっぱいを触った?」
「ううん、今日は触らなかった」
「へぇ〜よかったね、これからも…」
「今日はそんな時間なかっただけよ、今度また触るよ」
「ヘンなのぉー。でも4月に、ふみもし進級したら、もうY先生じゃないでしょうね、残念だね。」
「別に」
「え?ふみ、Y先生好きでしょう?」
「そりゃ好きよ。でも、もっとたくさんの先生が好きになれるから、いいじゃん」


「ふみ、明日は何の日だと知ってる?」
「日曜日、仮面ライダーの日だ」
「違うよ。暦上の啓蟄だよ」
「けいちつ?」
「そう、いろんな虫さんは啓蟄から、顔を出すようになるんだよ」
「え?明日、探しに行きたい。僕、アオムシがいい!」


ある民家の解体現場を、ふみとしばらく見物。

「ワニラー、かっこいいね、強いな」と、ふみは喜んでる。


土手から、また沈丁花をもらってきました。

速いもので、沈丁花、もう散り始めてるわ。

沈丁花の次、大好きな紫陽花を待ちます。



夜、洗面所の天井に、緑のこの虫がどこからか飛んできた。

さすが明日が啓蟄!ふみに教えたいが、もう眠ったから、今日は昼寝もしてないし、泳いだし、宿題もやったし、疲れたんでしょうね。
保育園での、ふみが作ったお雛さま、雛祭りが過ぎて、持って帰ってきた。