春雷・余震
ふみの久しぶりの登園です。
朝から、ウキウキするふみ。
早く着替え、通園カバンを持ち、玄関に立ってわたしを待つ。
保育園に入って、特に年長さんの部屋に入ったら、もうふみのはしゃぎは止まらない、叫んでお友達と走り回る。
「ふみ〜、じゃ、ママ行くね」
「ぎゃ〜」
「あ、ふみ、外履きと入れといたからね」
「やばい〜」
「ふみ〜、ママほんとうに行くよ」
「あ"〜」
もう意味わからないわ。
ふみ、よほどエネルギーが溜まってたんでしょうね。
インフルエンザになって、あっという間に治って、ケロッとしてる。
比べてパパは、体重が落ち、60キロを切った。
ちなみに人にこの話しを言ったら、「うらやましい」との反応がほとんどだった。(^O^)
保育園をあとにした。
ここにも花筏。
午後、空は段々暗くなってきて、遠くから、雷が聞こえて来た。
まもなく、雨がザーザーと降って来た。
仕事先に、先日姉が送って来た使い捨てレインコートが置いてあって、さっそく同僚たちに配る。
「お姉さんの愛情で、放射線をきっと跳ね返すよ」とMさんが言って、みんなで笑った。
この使い捨てレインコート、実によくできたもので、カッパのようで、袖もあって、当然フード付き。
薄めだが、丈夫そう。
これ、そもそも放射線防止のために作ったんじゃない?って思うぐらい。
ちなみに姉が送って来たのは、この使い捨てレインコートだけではなく、
使い捨て手袋、医療外科用マスク、使い捨ての靴カバーまで!
ひゃ〜あたくし、これで原発で働けるわ〜
でも今日のような突然の雨には、レインコート、ありがたいものでした。
ふみをお迎えして、二人雨の中で帰り道。
「今日、楽しかった?」
「楽しかったぁー」
「なにをしてた?」
「そりゃ暴れてたよ」
「お友達と喧嘩してない?」
「してなぁいよ」
ふみはカッパを着て、傘を差すのをとても喜んでた。
後ろからの車に水を跳ねられないように、一々道端に立ち止まって、車が通るの待つ。
後ろから自転車に乗った男性が、わたしたちに何か言葉をかけていった。
雨の音でよく聞こえない、男性は笑顔だったが、目が丸くなってるのは、ちょっと気になってた。
うちに着いて、パパが玄関に立って、
今、結構揺れたよ、と。
さっきの自転車の人、それを教えてくれてたのか…。
棚の写真立てが、倒れてる。
福島で震度6弱。東京も4ぐらいあったらしい。
余震、まだまだ続くね。
今日の夕方は、ふみ、塾に行く日。雨だし、余震だし、やめようと言ったら、
ふみは焦った。「行きたい行きたい、行きたいのに。だいじょうぶよ、せっかく書いたから、先生に見せたいのに」
まあ、とりあえず夕飯食べよう。
ふみは珍しく、シシャモを美味しそうに食べる。それはいいのだが、ママが作った玉子とトマトの炒めを、一口も食べてくれない。
まったく喰わず嫌いなんだから。
ご飯を食べたら、ふみはやっぱり塾に行きたい、先生に書いた宿題を見せてあげたいと言い続けて、
「ダメよ」と言われたら、半泣きになった。
それを見たパパは、よし、行こうと、自転車でふみと塾に行った。
40分ほど、パパは喫茶店で待機、ふみは塾でお勉強。
パパの話だと、塾には、いつもと同じく子供はたくさんいたそうだ。
パラパラの雨の中、ふみはパパと帰って来た。
「ふみ、先生に褒められた?」
「うん」
「どういうふうに?」
「別に、普通に」ふみは、さりげない顔を見せる。
そうか、普通か、それでいいよ。
夜になっても、夕方の余震と見られる揺れがたびたび。
「なに、その情けない顔は」
ーーこう、ふみに言われたのは、あたしです。パパと一緒に爆笑した。
どんな時でも笑顔でないと!
ふみ、ママは心からあなたを尊敬してるよ。もちろんすべてじゃないけど、尊敬してる部分、大いにある。