銀杏並木

今日は結婚記念日です。

かれこれ十一年になる。
もうそんなになったっけ、と思う時にもあるが、
たかが十一年なんて感じる時も。


お互いプレゼントもなく、一家でご飯を食べよう、とのことに。
ついこの前、知人に、旦那さんから、花束やアクセサリーなどのプレゼントをされたことがあるかと聞かれて。

ないない。そもそも、主人がアクセサリー売り場に立って何かを探すという姿、わたしは想像つかないというか、したくないというか。


お花は買ってきたことはある。でも花束ではなく、植木鉢の、わたしにではなく、うちに飾る用の。
たしかシクラメンだったと思う。


「え?そう〜、じゃ、誕生日に何をくれるの?」
「そうね、ほしかったDVDだったり、CDだったり」



そういう点は、父に似てたかな。父が母にアクセサリーなど、女性が喜ぶものを上げたりの、見たことがないわ。



かれこれ、十一年。わたしが親と一緒に暮らした年数の半分を越えたわ。



食事の行き先は、わたしの好きなお店、「梅の花」。

ふみが生まれる前から、我が家の何か行事には、青山の「梅の花」へ、となっているのだ。


お豆腐料理なので、おいしくてヘルシー。
けど年齢と共に、その「梅の花膳」というコースも、ちょっときつくなってきて、ここのところ、しばらく行ってないんだ。


今は、ふみはラクラク一人前が食べれるから、今日、三人で梅の花膳を。もちろんふみにも一人前の頼んであげた。



ヘルシーで、ふみには物足りないようだということに、感慨深いものがあった。


そうね、ふみは雨の後の筍のように、猛烈な勢いで伸びて行く、
わたしはというと…。



お祝いとのことで、梅ワインを。


相変らず一口で、もう目が回ってくるわたし。アルコールは、一生無縁だわ。


ふみは退屈しながら、店員さんがお料理を運んできた途端、話しかける。


「このお鍋が沸いたら、豆腐が豆乳になるの?」
「今日のデザートはなに?」

「ふみ、ダメよ」
「なんで?」
「生意気だから」
「なんでよ」



楽しみにしてたデザートは、豆乳アイスと、小豆豆腐だった。



美味しく頂いて、帰りは徒歩。
青山から、神宮外苑の銀杏並木へ。


ここの銀杏並木が黄葉になる季節に、ほぼ毎年見に来る。
今年はまだ。


今日ちょうどよかった。


夜の銀杏並木の黄葉、初めてだわ。

昼間と比べて、静かで穏やか。


たまにマラソンの人や、犬の散歩の人がすれ違う。


16度もある今日は、暖かく風もなし。



ふみは、ずっとケンケンパで帰ってきた。
よく疲れないなって、月もびっくりして、雲から顔をだしてる。